勝者と敗者の美学
コロナもピークは過ぎたかもしれないというニュースをみてほっとされている方がいらっしゃるかもしれません。残念ながら重症者は増えているようなので、まだまだ安心できる状態ではないと思いますが、皆さんお元気でお過ごしください。
さて半沢直樹は視聴率も快調のようであり、私も毎週楽しみにしています。弱者が勧善懲悪で強者を倒していきわかりやすく、見ていて痛快なものを求めている平成・令和の我々の心理を見抜いたストーリーのように思え、弱者のように見えながら実は強者であることを最後に明らかにして悪党を倒し、日本全国の世直しをしていく昭和・平成の「水戸黄門」とも似ているような、違うような、いずれにしろ両方とも最後にすっきり感を味わえる番組といえるのかなと思います。
巨人は故障者は出ているものの、増田大選手が投手をしたり、勝負所を中心に盗塁や代打の作戦、投手起用など、原監督の名采配が目立っており、日ハムを戦力外になり育成で獲得された田中豊投手が支配下登録されてすぐに活躍したり、ベテランの中島選手が復活して活躍したり、新しい若手が日替わりで活躍したりなどドラマが生まれています。私はプロ野球の試合は負けるにしろ、采配をしっかりやった、選手もせいいっぱいやった、ある意味美学がある上での敗戦は納得できますが、え?なんでこんな起用?こんな作戦?、早々にあきらめているの?というものが多いと、負けてもあるいは勝ってもすっきりしません。増田大選手の投手起用も増田選手が故障してしまうと嫌でしたが、若手の投手に対しては、こうであっても抑えられるなどいろいろな意味での教育的な効果もあったのではないでしょうか。ジャイアンツの投手は四球癖のある投手が多いように思います。球速に頼らずコントロール重視でもある程度抑えられることなどを増田選手は見せてくれたのではないかなと思います。
半沢直樹、水戸黄門、原監督に共通することとして、やはり美学があるように思います。もちろん半沢直樹や水戸黄門は架空の人物(ドラマの水戸黄門は史実に合わせて描かれた人物ではなく)ですが、それぞれの敗者、悪党には美学がない・情状酌量の余地もないというところが、やはり何の迷いもなくなる痛快さを生むのだと思います。この間の巨人阪神戦は現時点での戦力差があるのかもしれませんが、矢野監督の采配には目立ったものがないように思いました。負けても一服の清涼感を味わせてくれると、ファンも美学を感じ、納得できると思います。
さて半沢直樹で悪者でも敗者でもない中野渡頭取がいます。しかしドラマの前半あの方は見ていて、トップたる器かなあと思います。いったいどこまで理解していて、どこから理解していないのか全くわかりませんし、子会社でふつうの方の200%以上獅子奮迅の働きをする半沢直樹に頼っていて?、その活躍で救われ、さらに悪者以外の取締役・幹部たちもなりゆきまかせで、半沢直樹の活躍がなければ銀行がつぶれてしまうくらいの大ごとなのに他人事で、それぞれの方に全く美学がありそうにない、これはびっくりですね。日本ではドラマでしかありえないことと信じたいと思いますが、つぶれていく会社の中にはこのような会社もあるのでしょうね。
”クルマでいこう”を見ていたら、トヨタ車の取りまとめをした部下の方が、豊田章男社長に負けないようにがんばって働いていると言われていました。豊田社長はきっと美学をお持ちなんだろうなと思います。このような会社が日本でさらに増え、またJapan as No1と言われるような未来を期待します。