保守・革新と巨人軍
出口治明さんの「還暦からの底力」を少し前に読みました。還暦からでもしっかり働くことができるという励まされる内容で、人間年齢であきらめてはいけないんだなと再認識しました。
その中で再確認できたことがありました。皆が満足していてさほど不満がないのならそのままでいいというのが保守主義の基本的考え方であり、賢い人がきちんと考えたとおりにやれば世界はうまくいく、これが革新主義だそうです。伝統や慣習を大事にする、人間が心地よいと思うものは残しておけばよい、うまく回っていることについては正しい、これらの保守主義の根幹は人間はそれほど賢くないという人間観にあり、革新主義との違いは人間の理性を信じるかどうかにあるとのことでした。
さてこれらのことを考えると、政治にしろ野球にしろ保守勢力の方たちで保守を貫き、革新勢力の方たちで革新を貫いている人たちは多くはなく、うまくいかなくても「俺たちはこれでいいんだろ」と我を通す方が多い気がします。
巨人は連敗を脱し辛うじて、CS進出を決めています。しかし残念ながら今やっている最終戦も??の様相、戦い方が進歩している感じはしませんし、優勝争いをしているときに大失速していることでうまく回っていなかったことは歴然としています。相変わらず大味な野球で、巨人のV9時代と比べると差は一目瞭然です。球際に強い選手はごくわずか、一生懸命やられているのはわかりますが、場面場面で考えて野球をやっている選手が少なく、どんな場面でも同じように一生懸命打つ、一生懸命投げる野球をやっているように思います。大量点差では勝てますが、大事な試合でここで1点というようにコツコツ積み重ね、僅差で勝てる強いチームには見えません。ここで進塁打、バント、ヒットエンドランなど細かい野球ができていない気がしますし、守備でもファインプレーはありますが堅実なプレーはできていない気がします。そして、打てなければ選手のせい、打たれれば選手のせいというような首脳陣からの発言も目立っています。巨人軍の山口オーナーは「結果が出ていないので色々と批判もあるかと思うが、原監督との信頼関係は変わっていない」と発言していらっしゃいますが、このように最終責任をとるべき首脳陣が、自分たちの指導・起用法や作戦を棚に上げ選手のせいにして「結果が出ない」と片付けてよいのでしょうか?
ソフトバンクの工藤監督は、2年連続完膚なきまでに巨人を叩きのめし、抜群の成績を残したにも関わらず、今年1年うまくいかなかっただけで、残留要請をお断りになられています。もちろん両軍とも表面に出ないいろいろなことがあることは確かでしょうが、このまま現在の巨人軍が体制を立て直すことなく来年を迎えても、日本シリーズで良い試合をすることはできないだろうなと思います。
政治の世界でも保守と革新が融合し、輝く未来のある日本を作っていただきたいなと思うとともに、巨人軍も新首脳陣がしっかりとした考え方のもとに、本当の意味での保守と革新を行い新しい巨人軍を作り上げ、日本シリーズでも良い戦いをして、我々を楽しませてほしいと切に願います。