プライドとブランド
旧通産省工業技術院元院長だった方は重大事故の起訴内容を否認したため、世間では驚きや怒りの声が噴出しています。以前は逮捕されなかったことなどから、「元官僚で東大卒の上級国民だから、特別扱いしているのでは」といった声が噴出したことも記憶に残っているのではないかと思います。この方が世間から驚きをもって注目されるのは、遺族への謝罪も多少は言われてはいるようですが、それをかき消すような自己弁護のオンパレードだからでしょう。親子が亡くなってしまうような重大事故を起こしたのだから、既に89歳であることを考えても、まずは真摯に謝罪することしか頭に浮かんでこないのではないでしょうか。事故を起こしたことが仮に車の不調などのような不可抗力がぬぐいきれないとしても、やはり先に強く謝罪することが求められることから、この方が晩節を汚していることは明らかだと思います。
プライドとはWeblio英和辞書では「自慢、得意、満足、自尊心、誇り、うぬぼれ、高慢、思い上がり、自慢のたね」です。またブランドとはWeblio英和辞書では「銘柄。商標。特に高級品として有名な商品と、その商標」です。この方はプライドも強く持たれており、また東大卒、上級官僚であったことでブランドも持ち合わせているということになるでしょう。
しかし、この方は「プライド」と言っても持っているのは後半の「うぬぼれ、高慢、思い上がり」のように見えますし、東大卒、上級官僚であったご自分の「ブランド」も過去のものでしかなかったのかなと思います。また、この方が「通産省工業技術院院長」であったことは確かだと思いますが、その頃も本当に人格・力量を兼ね備えた本当の意味で「ブランド」を持った立派な人物であったかどうかは、現在の状況からみると疑わしいかもしれません。
これから発言を撤回したとしても、遅くないとは決して言えないと思いますし、「自慢、得意、満足、自尊心、誇り」であるプライドを持って、これから最後のブランド作りをすべく謝罪に徹したとしても、被害者の方や、世の中の方々が納得できるかどうかはわかりませんが、一息はつけるのではないかなと思います。
菅内閣も自分に逆らう官僚や学者の方を遠ざけるのではなく、良いプライドをもった、最後までブランドを守り切るような人物は遠ざけず、そういう方たちに耳の痛いことを言われても、ドーンと受け止めて、持続可能な開発目標を達成できる、その場しのぎでない内閣を作られることを切に望みます。